相続手続きは誰に頼む?財産と困りごとから選ぶ専門家の早見表

相続手続きは誰に頼む?財産と困りごとから選ぶ専門家の早見表

相続手続きを誰に頼むかは、保有資格の違いではなく、「相続財産に何があるか」「今どこで困っているか」から決めると分かりやすくなります。


不動産の名義変更なら司法書士、相続税申告なら税理士、相続人同士の争いなら弁護士が主な依頼先です。戸籍収集や遺産分割協議書などの書類作成が中心なら、行政書士も候補になります。


複数の問題が重なっている場合は、一人ですべてを担当できるとは限りません。必要な専門家と連携できる窓口を選ぶ方法もあります。


相続手続きを誰に頼むか迷ったときの分け方


依頼先を決める前に、次の三つを確認してください。


  • 土地や建物などの不動産があるか
  • 相続税申告が必要になりそうか
  • 相続人同士で争いがあるか


不動産があれば登記、遺産額が一定額を超えれば相続税、争いがあれば交渉や裁判所での手続きが関係します。それぞれ担当できる専門家が違うため、この三点を先に整理すると選択肢を絞れます。


不動産の相続登記は司法書士へ頼む


司法書士は不動産登記の専門家です。土地、戸建て、マンションなどを相続した場合に、相続人を名義人とする登記申請を代理できます。


戸籍収集、相続関係説明図、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書の作成、預貯金の解約などをあわせて依頼できる事務所もあります。


司法書士が向くケース


  • 故人名義の土地や建物がある
  • 相続登記に必要な書類が分からない
  • 遠方の不動産を相続した
  • 戸籍収集から登記までまとめて頼みたい
  • 争いはないが相続人や財産が多い


相続登記は2024年4月から義務化されています。相続で所有権を取得したことを知った日などから原則3年以内に申請が必要なので、不動産がある場合は早めに司法書士へ相談するのが現実的です。


ただし、司法書士は相続人同士の対立について、一方の代理人として自由に交渉できるわけではありません。紛争がある場合は弁護士が必要です。


相続税の申告と財産評価は税理士へ頼む


税理士は税金の計算、申告書の作成、税務署への申告代理を担当します。


相続税の基礎控除は、原則として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。遺産総額がこの金額を超えそうな場合は、申告の要否を税理士へ確認した方がよいでしょう。


税理士が向くケース


  • 預貯金、不動産、証券などの遺産額が基礎控除を超えそう
  • 土地の相続税評価が分からない
  • 配偶者の税額軽減などの適用を検討している
  • 生前贈与や名義預金の扱いが気になる
  • 相続税の申告期限が近い


相続税の申告期限は、通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていない場合でも期限が延びるわけではないため、早めに相談する必要があります。


税理士へ依頼しても、不動産登記は司法書士が担当します。税理士事務所が司法書士と連携しているか確認すると、別々に探す手間を減らせます。


相続人同士の争いや交渉は弁護士へ頼む


弁護士は法律相談に加え、依頼者の代理人として他の相続人と交渉したり、家庭裁判所の調停や審判へ対応したりできます。


弁護士が向くケース


  • 遺産の分け方について話し合いがまとまらない
  • 特定の相続人による預金の使い込みが疑われる
  • 遺言書の有効性を争っている
  • 遺留分の請求をしたい、または請求を受けた
  • 連絡に応じない相続人がいる
  • 相続放棄や限定承認について法的な判断が必要


相続人同士の意見が対立しているのに、書類作成だけを先に進めても解決しないことがあります。相手との交渉が必要な段階なら、最初から弁護士へ相談した方が二重の依頼を避けられます。


戸籍収集や遺産分割協議書は行政書士も候補


行政書士は、官公署へ提出する書類や権利義務に関する書類の作成を扱います。争いのない相続であれば、戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書の作成、自動車の名義変更などを相談できます。


行政書士が向くケース


  • 相続人全員の合意ができている
  • 戸籍収集と書類作成を頼みたい
  • 不動産登記や相続税申告が必要ない
  • 自動車などの名義変更を依頼したい


行政書士は不動産登記や相続税申告を代理できません。他の資格者と連携している事務所へ依頼する場合は、誰が何を担当し、それぞれいくらかかるか確認してください。


銀行の遺産整理業務は費用と対応範囲を確認する


銀行や信託銀行が、遺産整理業務として相続人調査、財産目録の作成、預貯金や有価証券の手続きなどを扱っている場合があります。


取引のある金融機関へ相談できる安心感や、窓口をまとめやすい点はメリットです。一方、最低手数料が設定されていたり、司法書士や税理士への報酬、登録免許税などが別途必要になったりすることがあります。


銀行へ依頼する場合も、手続き完了までの総額と、外部の専門家へ委託する業務を確認しましょう。


財産と困りごとから依頼先を決める


専門家の肩書だけで迷う場合は、現在の状況を次のように当てはめてみてください。


不動産があり、親族間の争いも相続税もなさそうなら、司法書士が中心になります。


遺産額が基礎控除を超えそうで、特に土地の評価が心配なら税理士が中心です。不動産登記は、連携する司法書士へ依頼することになります。


財産の分け方で対立しているなら、先に弁護士へ相談します。分割内容が決まった後に、税理士や司法書士が申告・登記を行う流れです。


争いがなく、戸籍や協議書などの書類作成が主な悩みなら、行政書士も候補になります。ただし、不動産や相続税がある場合は他士業との連携が必要です。


何が必要か自体が分からない場合は、財産の種類と困りごとを伝え、対応範囲を説明してくれる窓口を探しましょう。


複数の専門家が必要な相続では窓口の役割を確認する


相続財産に不動産と預貯金があり、相続税申告も必要なケースでは、司法書士と税理士の両方が関わる可能性があります。


このとき、別々に依頼すると同じ財産情報を何度も説明することがあります。連携体制のある事務所へ依頼すれば連絡負担を減らせますが、紹介先との契約や費用が別になることもあります。


「ワンストップ対応」という言葉だけで判断せず、次の点を確かめてください。


  • 相談窓口は最後まで同じか
  • 実際に担当する資格者は誰か
  • 他士業への報酬は見積もりに含まれるか
  • 依頼者が各専門家と個別契約するのか
  • 書類や財産情報は事務所間で共有されるか


窓口が一つでも、請求や契約が複数になることがあります。手続きの流れと総額を契約前に確認しましょう。


依頼先を決める前に聞いておきたい質問


初回相談や見積もりの際は、専門家へ次の内容を質問すると比較しやすくなります。


  • 私の相続で必要になりそうな手続きは何か
  • 事務所内で担当できる業務と対応できない業務は何か
  • 他の専門家が必要な場合は紹介や連携が可能か
  • 専門家報酬と実費を含む総額はいくらになりそうか
  • どのような場合に追加料金が発生するか
  • 依頼後も自分で行う必要がある作業は何か
  • 完了までのおおよその期間と連絡方法はどうなるか


料金が安くても、担当範囲が狭く別の専門家を探す必要があれば、手間と総額が増えることがあります。相続分野の取扱経験や説明の分かりやすさも見ておきたいところです。


誰に頼むか決められないときは見積もりで対応範囲を比べる


相続費用見積ガイドでは、司法書士、行政書士、税理士などへ相続手続きの見積もりを無料で依頼できます。申込画面で依頼先を選ぶことができ、一度に最大5件まで見積もり依頼が可能です。


地域や相談内容によっては複数の回答がそろわない場合があり、見積もり後は各専門家からメールや電話で連絡が入ります。


利用する際は、「相続手続きを頼みたい」とだけ入力するのではなく、不動産の有無、財産のおおよその種類、相続人の人数、争いの有無を伝えましょう。必要な手続きをまだ把握できていない場合でも、分かる範囲で状況を入力できると案内されています。


誰に頼むべきか決まっていない人は、見積金額だけでなく、「この専門家ならどこまで担当できるか」「他士業が必要になったときどう連携するか」を比べると選びやすくなります。


相続内容に対応できる専門家を探して見積もりを取る


まとめ


相続手続きを誰に頼むかは、財産と困りごとから決めます。不動産登記は司法書士、相続税申告は税理士、紛争の交渉は弁護士、争いのない書類作成は行政書士が主な候補です。


複数の分野が関係する場合は、窓口と各業務の担当者、契約、追加費用を確認してください。


依頼先が分からないときは、財産の種類、相続人の状況、期限を伝え、対応範囲と費用を同じ条件で比べるところから始めるとよいでしょう。